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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

【法務情報】消費者庁・消費者委員会って何?

 │ 消費者, 上越事務所, 弁護士朝妻太郎

 最近,消費者庁の創設という話をよく耳にしますが,そもそも消費者庁とは何ですか。消費者庁とは別に、「消費者委員会」という組織もあると聞きましたが,消費者庁とはどう違うのでしょうか。

 

1 消費者庁とその役割
 消費者庁関連3法の成立にともない,平成21年9月1日に内閣府の外局として消費者庁が発足しました。消費者契約法,製造物責任法など,消費者問題に関連する法律30本を自ら所管します。

 
 具体的には,何をしてくれるところなのでしょうか。

 
 まず,消費者の方々が何らかの消費者トラブルに巻き込まれた際の相談窓口として消費生活センターが重要なものとなっていましたが,従来は消費生活センターに相談が寄せられても,消費生活センターは事業者に対する勧告等を行う権限がありませんでした。

 
 しかし,今後は消費者庁が消費生活センターに寄せられた相談等の情報を集約し,各事業者に対して勧告・命令を発することができるようになりました。

 
 また,集められた情報に基づき,消費者事故についての公表等を行います(すでに消費者庁のHPに,多数の事故情報が公表されています。)。

 さらに,所管する省庁のない隙間事案への対応が期待されます。

 
 例えば,昨今問題となったこんにゃくゼリーによる窒息死の問題などは,直接所管する省庁が存在しないため,抜本的な措置が取られなかったというのが実情です。

 
 しかし,今後は,消費者庁が自ら,事業者に対して回収等の命令を行うことができるようになりました。

 
2 消費者委員会とは
 消費者委員会は,消費者庁を含む消費者行政全般を監視する組織であり,消費者庁とは別個独立した組織です。関係省庁に対して資料を要求するなどし,消費者政策の企画立案についての監視と建議を行います。

 
3 これからの消費者トラブルへの対応の仕方について
 では,我々一般市民は,今後は消費者事故が発生した場合に消費者庁にすべて任せていれば大丈夫なのでしょうか?消費者庁は設立されたばかりの組織であり,個別の事案に対して,実際にどのような対応がなされるか不明な点が多いことも事実です。

 
 また,民事上の責任を追及する(損害賠償を請求する等)上では,直接的に消費者庁が関与して解決を図ってくれるということにはなりません。

 
 民事上の責任の問題が生じた場合の対処の仕方は,基本的にはこれまでと変わりないと考えて良いでしょう。消費者の立場で被害の救済を求めるにしろ,事業者の立場で解決を図るにしろ,当事者間での交渉が不可欠であることに変わりありません。

 
 皆さんが消費者の立場であれ,事業者の立場であれ,消費者トラブルに直面した際には,是非当事務所の弁護士にご相談いただき,対応を一緒に検討させていただければと思います。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 朝妻 太郎◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2009年12月号(vol.45)>

【法務情報】事業者に近づく振り込め詐欺

 │ 弁護士大橋良二, 新発田事務所, 消費者

 「振り込め詐欺」という言葉が浸透してからしばらく経ちますが、最近でも振り込め詐欺が多発しています。

 
 「振り込め詐欺」というと、たとえば、息子から交通事故で他人に怪我をさせてしまったとの電話があり、示談金名目で現金の振り込みを請求される事案(典型的な「振り込め詐欺」)や、インターネットの利用者に対して、有料サイトを閲覧した料金の請求といった名目で架空の請求をし、特定の口座へ現金の振り込みを請求されるという事案(いわゆる「架空請求」といわれるもの)がすぐに思いつくかもしれません。

 
 しかし、金融庁などで類型化されている振り込め詐欺の手口にはこの2つの他にもさらに2種類あります。

 
 一つは、「融資保証金詐欺」と呼ばれるものです。

 
 これは、ある日突然、事業者のところへ、「融資する」という内容のダイレクトメールやFAXなどが送られてきます。経営が苦しい事業者が融資を申し込むと、融資する際に保証金を預けることが必要であるといわれ、保証金名目で数万円単位のお金を預けることを要求されます。

 
 事業者がこの保証金を振り込むと、さらに別の保証金の名目でさらに高額の振込みを要求され、事業者が振り込むとさらに高額な保証金を要求される・・・といったものです。

 
 もう一つは、「還付金詐欺」と呼ばれるものです。

 
 これは、ある日突然、事業者のところへ税務署、自治体職員、社会保険庁などといったもっともらしい機関を名乗る者から連絡が来ます。その内容は、これから税金や医療費、保険料等の還付を行うからATMに行ってからこの電話番号に再度電話をしてほしいというものです。

 
 事業者が、ATMへ行って電話をかけると、これから指示通りに操作をして下さいといわれ、「いまエラーが出ているので、一度こちらに○○万円を送金して下さい。そうしたら、還付金と併せて返金することができますので」などといわれ、その指示通りに操作をして相手の口座に送金してしまうというものです。

 
 どちらの手法も第三者から冷静にみれば詐欺としか思えない内容なのですが、実際には状況によっては信用してしまうこともあるようで、被害にあった人は口を揃えて「報道などで詐欺の存在については知っていたが、まさか自分が・・・」というそうです。

 
 このような多種多様な振り込め詐欺を予防するには、「すぐに振り込まない」「一人で振りこまない」を徹底することであると言われています。自分一人では詐欺とは思えない状況でも、家族や第三者からみると容易に詐欺だと分かるというわけです。

 
 それでは、もしも、もうすでにこのような手口で騙され、振り込んでしまったという場合にはどのような対処方法があるのでしょうか。

 
 この点について、従来は、通常通りの法的手続きによることしかできませんでした。

 
 民事訴訟等であれば時間も費用もそれなりにかかるものですし、もちろん必ず全額回収できるというわけではないので、訴訟費用のリスクを考えて泣き寝入りせざるをえないケースも多々ありました。

 
 ところが、このような状況を打開するために、平成20年6月になって振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)が施行されました。

 
 この法律により、規定された要件を満たせば、民事訴訟等の続きによらなくともより簡易な手続きにより「被害回復分配金」という名目で、一定の金銭の返還を求めることができるようになりました。(ただし、期間制限など一定の条件があります)

 
 とはいえ、このような手続きを利用できたとしても、被害額を全額回収できる保証があるわけではありません。

 
 ですから、このような振り込め詐欺にあわないよう、日頃から些細なことでも家族や第三者に相談できるという環境を確保しておくことが重要なのです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2008年8月号(vol.30)>

【法務情報】インターネット上のサイドビジネス~「アフィリエイト」と「ドロップシッピング」にまつわるトラブル~

 │ 弁護士大橋良二, 新発田事務所, 消費者

1 「アフィリエイト」「ドロップシッピング」とは

 
 「アフィリエイト」「ドロップシッピング」という言葉を聞いて、すぐにイメージが浮かぶでしょうか。

 
 これらは、いずれも近年みられるインターネットを使用したサイドビジネスです。最近は、このアフィリエイトやドロップシッピングに伴う、トラブルの案件が増えています。

 
 アフィリエイトとは、一般的には提携先の商品広告を自分のウェブサイト上に掲載し、その広告をクリックした人が提携先から商品を購入するなどした場合、一定額の報酬を得られるというものです。

 
 また、ドロップシッピングとは、一般的には自分のウェブサイト上に商品を掲載し、商品の申込があった場合、メーカーや卸業者から申込者へ商品を直送するというものです。

 

2 トラブルの原因

 
 アフェリエイトも、ドロップシッピングも、(もちろん)それ自体ではなんら違法なものでもありません。

 
 それでは、どのようにしてトラブルが生じているのでしょうか。

 
 一つの原因は、アフィリエイトやドロップシッピングを行うためのサイト開設を行う仲介業者の問題です。

 
 アフェリエイトもドロップシッピングも、一般の方がサイドビジネスとして仲介業者からの勧誘を受けて行うケースが多いようです。仲介業者から勧誘を受けて、自分のウェブサイトを開設するという高額なホームページ作成委託契約を結ぶものの、思うような収入が得られないというトラブルが典型例です。仲介業者から「サポートするので確実に利益が得られます」「在庫を持たずにできるので安心」「面倒なことはこちら(仲介業者)が全部やるので初心者でも大丈夫」などという甘い言葉で勧誘を受けて契約するものの、実際には大したサポートは得られず、高額なホームページ作成費用だけを支払い続けることになることになってしまうのです。

 
 
 被害者の方も、仲介業者を信頼し、アフィリエイトやドロップシッピングの仕組みがよくわからないままに、ちょっとした副収入を得たいという気持ちで、高額な契約をしてしまうようです。

 

3 法律上の救済の問題

 
 このようなアフィリエイトとドロップシッピングの被害者を救済する際の最大の問題はいずれも副業とはいえ「事業」ですから、「事業者」として扱われてしまう可能性があることです。

 
 近年では、消費者を保護する法令が整備され、一般の消費者がトラブルに巻き込まれた場合には、法律によってそれなりの保護を受けることができます。これは、消費者が事業者に比べて、知識も能力も「弱い立場」にあることから、法律上保護するという発想によるものです。

 
 これに対し、アフィリエイトやドロップシッピングを始める者は、売上を求めて「個人事業主」=「事業者」として活動します。そのために、仲介業者との契約は事業者間の対等な取引として、消費者保護のための各法令が適用されにくい可能性があるのです。

 
 実際にも、消費者生活センターなどが関与してあっせんを試みたケースでは、仲介業者は「事業者間の契約である」として交渉に応じないというケースも多いと聞きます。

 

4 おわりに

 
 このようにアフィリエイトやドロップシッピングは、新しい分野のビジネスとして有益なものではありますが、当然のことながら、広告をクリックする人や商品を買ってくれる人がいなければ利益が得られないことは通常のビジネスと全くかわりありません。

 
 ウェブサイトを作りさえすれば、ただ単に仲介業者が用意した広告を掲載するだけで「誰でも簡単に稼げる」などという「うまい話はない」ということを思い返す必要がありそうです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年8月12日号(vol.60)>

【法務情報】2010年4月から保険法が施行されました

 │ 長岡事務所, 消費者, 弁護士佐藤明

 もともと、保険については、旧商法に規定がおかれていましたが、約100年間ほとんど改正されずにこれまできました。

 
 これまで規定がないために生じていた問題の解決や社会経済情勢の変化に対応するために、保険契約に関するルールを改めて制定したものです。

 
 今回の改正点は、多岐にわたりますが、保険契約者等(消費者)の観点からの改正を中心に説明したいと思います。

 
1 契約締結時の告知義務について

(1)旧商法では、保険契約者等の告知義務(たとえば病歴の告知)について、保険契約者等の告知義務の対象を「重要ナル事実」としており、何が重要な事実であるか保険契約者等が判断して告知しなければならず、しかも保険契約者等が悪意または重大なる過失により告知義務違反である不告知や不実告知があると保険者(保険会社等)が、保険契約を解除できるとされていました。

 
 それを、保険法では、告知義務の対象を「重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの」とし、また、保険者が重要なる告知事項を指定して保険契約者等に質問をし、それに対して保険契約者等が回答する形にしました。

 
 このように自発的申告義務から質問応答義務に改正されたのは、保険者側の方がいわばプロだから、保険上の危険などの判断については保険者側が負担すべきとしたものです。

 
(2)また、保険契約者等による告知義務違反があった場合でも、保険者のために保険契約の締結の媒介を行なうことができる者(保険媒介者)が告知妨害や不告知教唆をしたときには、保険者は保険契約を解除できないこととしました。

 
 これは、たとえば保険代理店などは、保険契約者より保険者側に近い立場にあるので保険者側が監督等すべきだという考えで、保険契約者等の保護に沿った規定です。

 
2 保険給付の履行期について

 
 旧商法には、保険給付の履行期に関する規定はありませんでした。

 
 それを、保険法では、履行遅滞の時期に関する規定を設けました。つまり、保険者が保険金支払までの適当な期間を定めますが、その時期は、保険者が保険金支払いをするのに必要とされる事項を確認するための合理的期間(相当の期間)に限定されるものであり、その時期が支払期限としてそれを超えて支払う場合には履行遅滞になります。

 
 保険事故があれば、原因調査が必要な場合があるところですが、必要以上に時間をかけることは保険契約者等の保護の観点から許されないものとの観点から設けられました。

 

3 片面的強行規定の導入

 
 保険契約者等の保護の観点から、保険法の規定の内容よりも保険契約者等の不利な内容の約定を無効とする規定が多く定められました。約定(約款)を作る側の保険者のためでなく、保険契約者等の保護のためという意味で片面的強行規定といえるものです。

   

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 佐藤 明◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年7月31日号(vol.59)>

 

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