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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

変わる「職場の集まり方」に関する調査について(弁護士:五十嵐 亮)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所
弁護士 五十嵐 亮

長岡事務所所属/理事/事故賠償チーム

依頼者の方々に対しては、懇切丁寧なコミュニケーションを行い、よりよい解決に導けるよう心がけております。

■はじめに

オンライン会議やリモートワークが定着したことにより、職場での「集まり方」が、変容していると同時に、職場での集まり方やコミュニケーションのあり方について見直しを図りたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

 

そのような状況の中、株式会社リクルートのリクルートワークス研究所が2021年12月2日に「コロナ禍で変わる職場の集まり方を調査」(以下「調査結果」といいます)を発表しました。

この調査は、コロナ禍を契機に広がったリモートワークなどの新しい働き方が、職場の「集まり方」にどのような影響を及ぼしたのか、実態を調査したものです。

以下では、調査結果の内容をみていきます。

 

 

■コロナ禍における「集まり方」はどのように変化したか?

 

調査結果によれば、コミュニケーションの「総量」について、回答者の37.6%がコロナ禍前と比べて「減少」と回答したものです。

 

また、どのような「集まり」(会話の機会)が減少したのか?(複数回答)という問いについては、「ランチや飲み会」(71.0%)、「研修・イベント」(61.1%)に加え、「仕事とは関係のない雑談」(46.0%)、「他部署や社外の人との新たな出会い」(44.4%)、「たまたまの出会い」(41.7%)が減少していると回答した人が多いことが明らかとなりました。

 

そして、集まりの「目的」という観点からみると、目的が設定された場(情報伝達のための会議、意思決定のための会議、意見交換のための会議)のうち、「情報伝達」や「意思決定」のための会議については、増加が減少を上回る結果となりました。

他方、「仕事とは関係のない雑談」や「会議前後に発生する会話」が減少する結果となりました。

 

 

■職場の集まりが変化したことによる影響

調査結果によれば、「職場のコミュニケーションの満足度」について、29.2%が「低下した」と回答しました。

特に「他部署」とのコミュニケーションの満足度が他に比べてより低下している傾向がみられたという結果になっています。

 

職場のコミュニケーションが変化したことによる中長期的な課題の上位は、1位:仕事のノウハウが継承されない、2位:職場の一体感やチームワークが弱くなる、3位:離職者ややる気のない人がでてくるという結果となりました。

 

職場での一体感が「減少」したと回答した層もいる反面、約1割が「増加」したと回答しています。「減少」と回答した層と「増加」と回答した層のコミュニケーションの特徴を比較したところ、「職場で同じ経験をすることを大切にしている」という項目での回答にもっとも大きな違いがみられたということです。

 

中長期的な課題を解消するためのコミュニケーション上の工夫としては、「会議などで職場のみんなが参加できるよう、発言を促したり意見を尊重したりする」、「日常的に雑談など気軽に話ができる職場風土をつくろうとしている」という回答が3割を超え、「目的に応じて対面、オンライン(ビデオあり・音声のみ)の場をうまく使い分けている」という回答は28.5%で、「目的によって場を使い分ける」という回答は3割弱にとどまるという結果でした。

 

 

■「集まり方」のバリエーションの工夫

 

「集まり方」のバリエーションという観点では、「情報伝達のための会議」「経営や事業の方針伝達のための会議」などの「機能的伝達」を目的とした会議については、「オンラインのほうが対面より有意義な場になる」「オンラインでも効果は同じ」と回答した割合が半数以上という結果でした。

 

他方で、「ブレーンストーミングや意見交換のための会議」などの「創発的な会議」は、「対面の方が有意義」と「オンラインでも対面でも同じ」がほぼ同率という結果となりました。

 

 

■個人のコミュニケーション志向による仕事の充実感に必要なコミュニケーションの違い

仕事の充実感のために必要なコミュニケーションという観点では、個人のコミュニケーション志向によって、必要なコミュニケーションに違いがあることがわかりました。

 

「協働したい人」は、「画面に顔を映したWEB会議」「メールやチャット」「電話」「上司とのコミュニケーション」「ブレーンストーミングや意見交換のための会議」「経営や事業の方針伝達のための会議」「一対一の打ち合わせ」が増えると仕事の充実感が高まることがわかりました。

 

他方、一人で働きたい人の場合「画面に顔を映したWEB会議」「電話」「上司とのコミュニケーション」は仕事の充実感を高めますが、「メールやチャット」などの気軽なコミュニケーション「ブレーンストーミング」や「方針伝達」「一対一の打ち合わせ」は協働したい人と異なり、「充実感」との関係は見られないという結果になりました。

 

 

いかがでしたでしょうか。

職場での集まり方やコミュニケーションのあり方について見直しを図りたいと考えている企業においては、集まりの目的に応じた場の使い分け、個人のニーズに即したコミュニケーションの使い分けという点がポイントになりそうです。

_______________

【参考にした資料】

「コロナ禍で変わる職場の集まり方を調査」リクルートワークス研究所

https://www.works-i.com/research/works-report/2021/gettogether_research.html

 

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選挙当日のツイートは違法!?知らないじゃ許されない公職選挙法(監修弁護士:下山田 聖)

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この記事を監修した弁護士
弁護士 下山田 聖

一新総合法律事務所
弁護士 下山田 聖

                 

一新総合法律事務所 理事/高崎事務所長

努力を怠らず、実力ある弁護士を目指し、少しでも皆様の紛争解決に資することができるよう、日々努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

1. クイズ

 

まず、読者の方に質問から。

 

①選挙の投票日当日に、「Aさんに投票しました。みんなもAさんに投票しよう!」とツイート。
これは許されるでしょうか?

 

②16歳の息子が、公示・告示日から投票日前日までの間に、候補者の「清き一票をお願いします。」とのツイートをリツイート(シェア)していました。
これは許されるのでしょうか?

 

選挙運動に当たるかどうかは、個別具体の事実関係に即して判断されますが、結論として、いずれも許されないと考えます。

 

2. 公職選挙法はあなたにも関係があります

この記事では、間もなく衆議院議員選挙投票日当日を控えている現段階で、皆さんに特に注意していただきたい公職選挙法の問題について、簡単に解説させていただきたいと思います。

 

まず、私の個人的なイメージですが、公職選挙法といえば事前、事後の買収罪の問題等、候補者の金銭がらみの問題を思い浮かべ、私には関係がない法律だと考えている方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、公職選挙法は、選挙のルールを規定する法律で、一般有権者にも適用される条文があります。

そのため、気づかぬうちに公職選挙法違反をおかしていたということも十分起こり得ます

 

3. 選挙運動が許される期間とは?

 

そもそも、選挙運動が許される期間はいつかご存知でしょうか。

選挙運動はいつでも許されるわけではなく、公示・告示日から投票日前日の23時59分までしか行うことができません(公職選挙法129条)。

 

そのため、①の問題ですが、これは、選挙の投票日当日の行為ですので、選挙運動に当たれば、許されないことになります。

 

そこで次に選挙運動に当たるかを検討します。

 

選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」をいいます。

 

①のツイートですが、これは特定の選挙において、候補者Aという特定の候補者の当選を目的として、投票を得させるために行った行為とみなさる可能性が高く、選挙運動に当たるとされる可能性が非常に高いと考えます。

 

したがって、①の行為は、投票日当日の選挙運動にあたり許されないと考えます。

 

4. 満18歳未満の選挙運動は可能か

特に満18歳未満のお子さんがいらっしゃる方々に注意していただきたいのは、未成年者の選挙運動です。

公職選挙法には次のとおり規定されています。

 

「第百三十七条の二 年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない。」

 

②の行為は、満18年未満の者による選挙運動に当たり許されないと考えます。

 

参考に、満18歳未満のお子さんが無意識に犯してしまいそうな公職選挙法違反行為を列挙しておきます。

⑴ 他人の選挙運動メッセージをTwitterでリツイート

⑵ 他人の選挙運動の様子をYouTube等の動画共有サイトにアップ

⑶ 選挙運動メッセージをTwitter、Instagram、Facebook、掲示板などに書き込み

⑷ 候補者から送られたメール(メールマガジン)を他人に転送(これは満18歳未満の者だけでなく、一般有権者も行うことができません。なお、一般有権者もgmail等のメールやSMSを用いて選挙運動を行うことは出来ませんので注意してください。)

 

5. 終わりに

政治に興味を持つことは素晴らしいことだと思いますが、公職選挙法でルールが定められている以上、選挙運動を行う際にはそのルール従う必要があります。

 

特にお子さんをお持ちの方々におかれましては、お子さんが気づかずに公職選挙法違反をしたということにならないよう、十分注意していただければと思います。

 

 

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学校の先生方の残業(弁護士:古島 実)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 古島 実

一新総合法律事務所
弁護士 古島 実

理事/燕三条事務所長

相談において依頼者の話をじっくり聞いて、正確に生の事実と依頼者の希望を把握するように努めています。

忙しい学校の先生の毎日

学校の先生方は、お昼休みは子供たちの対応に追われ、十分に休憩が取れなかったり、採点や授業の準備などを放課後学校に残ってすることもできずに自宅に持ち帰らざるをえなくなったりと、勤務時間内に終わらないほどの仕事を抱えています。

また、放課後は、部活の顧問として指導をして、大会などがあれば休日返上で、子供たちを引率しています。

保護者も、子供たちの指導や活発な部活動について大きな期待を持っています。

 

先生方も保護者の期待にこたえようと努力され、長時間にわたって働いています。

そのようななかで、体や心の限界を超えてしまい、長期に休職されている先生方もおられます。

また、教職員の勤務の実情を知って教職員になるのを躊躇する若者もいるようです。

 

先生方も学校長などの上司に指揮監督されながら労務を提供して給与をもらう労働者という意味では、会社員として働く皆さんと同じです。

また、教職員という職業から離れた立場で、家族や自分と向き合う時間や生活が大切であるという点でも皆さんと同じです。

 

それでは、法律では教職員の勤務体系はどうなっているか、公立学校の教職員と一般企業の会社員と比較してみましょう。

 

教職員と会社員の勤務体系の違い

教職員の勤務時間には、「正規の勤務時間」「超過勤務命令などによる勤務時間」があります。

「正規の勤務時間」は、会社員でいえば所定の勤務時間(例えば、始業8時30分、終業5時30分、休憩12時から1時)にあたります。

教職員も労働基準法により、1週間40時間、 1日8時間の制約があります。

これは会社員と同じです。

 

「超過勤務命令などによる勤務時間」は、会社員の残業に当たります。

会社員の残業は、原則、月45時間、年360時間という法律の制限の範囲内で認められます。

会社では残業時間と残業手当は厳格に管理されていると思います。

 

教職員の場合は、一定の時間が認められているのではなく、校外実習、修学旅行、職員会議、非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合など臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られています。

そのため、教職員の残業は臨時的なものになります。

勤務時間外の残業、持ち帰りの仕事、勤務時間外の部活動の指導は、「正規の勤務時間」でも「超過勤務命令などによる勤務時間」でもない本来あるはずのない業務になります。

 

どうして教職員の残業は増えるのか?

 

会社員には残業に対して、割増(最低で25%)された残業手当が残業時間に応じて支払われます。

教職員には、「教職調整額」として、正規の勤務時間以外に働いた時間にかかわりなく、毎月の給料に4パーセントが上乗せされます。

仮に、月間の所定の勤務時間が21日✕8時間=168時間であるとすると4%は月間6.72時間分に当たります。

たとえ、昼休みを生徒の指導に使っても、採点や授業の準備などの業務が多くて正規の勤務時間中に終わらず、学校に残って作業を行っても、やむなく家に持ち帰って作業をしても、教職調整額以外の手当はもらえないということになります。

 

そして、部活動の指導についても、特別な手当は支払われません。

部活動の指導は、先生方は仕事とは関係のない趣味として行っているのではなく、学校の仕事として行っています。

また、保護者も学校の部活動としてみていると思います。

 

このようなことから、会社員では法律で明確にされている残業の制限やそれに対する手当が教職員では不明確で、教職員に対する社会の期待に応じて無制限に教職員の仕事が増えているように見えます。

教職員は次の社会の担い手を育てる尊い職業です。

このままでは、教職員の成り手も減ってしましますし、せっかく教職員になっても、体調を崩したり、家庭と両立できずに教職員を続けられない方も増えてくると思います。

 

実情にあわせた法整備を…

現在働き方改革が叫ばれています。

学校の教職員の働き方も、一般の会社員と同様に、実情に合わせて残業の制限と残業手当について法整備をする必要があると思います。

また、保護者も教職員がこのような実情にあることを理解したうえで教職員に接する必要があると思います。

犬同士の咬みつきで、飼い主に責任が認められるか?飼い主に賠償命令(弁護士:細野 希)

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1 咬みつき事故の状況

環境省の令和2年度の統計である令和元年の犬による咬傷事故状況の報告によると、全国の咬傷事故の件数は4274件であり、そのうち、咬傷犬数4277で、野犬41頭以外は、全て飼い犬(登録犬3471頭+未登録犬486頭+飼い主不明279頭)でした。

咬みつかれた被害者は、飼い主・家族、それ以外の人が圧倒的に多いですが、動物など人以外の被害も計211(死亡被害25+死亡以外の被害186)事故が報告されています。

また、咬傷事故発生時における被害者の状況は、通行中の事故が2047件と最も多く、次いで犬に手を出したときに発生した事故が674件でした。

(環境省:「犬による咬傷事故状況の報告」

 

2 動物同士の事件でも裁判に発展する場合も

咬みつき事件は、飼い主の故意により発生した事件でなくても、裁判発展する場合もあります。

例えば、犬が咬みつき、人に怪我を負わせたり、死亡させたりした事件では、飼い主に対し、刑事責任が問われて、禁固や懲役刑の実刑判決を言い渡されている事件もあります。

また、治療費や慰謝料等の損害を求める民事裁判でも、犬が咬みついた相手が人間ではなく、犬や猫等の動物であっても、事故状況や被害の程度によっては、賠償責任を認めている判決も多いです。

 

令和3年5月14日、犬同士のかみつき事件で、東京地方裁判所は、飼い主に、治療費や慰謝料など計約15万7千円の賠償を命じました。

この事件は、公園内で、飼い犬Xの臀部に、飼い犬Yが咬みついた事件ですが、咬みつく前に、別のリードを付けていない(いわゆるノーリード)飼い犬Aが、Xに近づいてきたため、Xが唸ったところ、これに反応したYが、Xの臀部に複数回咬みついたという事件です。

XとYの飼い主の間では、咬みついたYがノーリードあったか否かを含む事故状況について、争いがありました。

 

3 賠償責任は

動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います(民法718条1項)。

ただし、動物の占有者が、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、責任が免除されます(同項ただし書)。

「相当の注意」とは、「通常支払うべき程度の注意義務を意味し、異常な事態に対処しうるべき程度の注意義務まで課したものではない」とされています(最高裁昭和37年2月1日判決)。

「相当な注意」もって動物を管理していたと認定されるのは、ハードルが高いとされていますが、事件によっては「相当の注意」を尽くしたと認定される事件もあります。

 

先ほどご紹介した事件は、事故現場にいた飼い主だけでなく、その犬を自宅で共同して飼育していた者に対しても、損害賠償請求がなされました。

 

東京地方裁判所は、事故現場にいなかった犬の飼い主に対しては、飼育方法や管理方法に問題があったことをうたがわせる事情がなく、「相当の注意」をもって管理したとして、民法718条1項による責任を認めませんでした。

 

他方、現場にいた飼い主に対しては、裁判所は、Yがノーリードであったことは認定しませんでしたが、現場にいた飼い主には、Yの動静に注意し、Xと十分な距離を取るか、リードによってYを適切に制御すべき義務があるのにこれを怠ったとして、治療費や慰謝料の支払いを命じました。

 

犬がノーリードではなくても、飼い主に責任を認めている点に特徴があります。

 

多くの動物による咬みつき事件は、飼い主に故意がなくても、動物の予想外の行動により、想定外の被害を受けてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

4 動物の財産価値?

被害を受けた動物が、高齢であり、雑種で市場価値がない場合でも、損害賠償を認めている判決もあります。

 

飼い犬により、18歳の高齢の雑種の飼い猫を咬み殺された事故に関して、大阪地方裁判所平成21年2月12日判決は、老齢である雑種の飼い猫は、市場価値がないとしても、愛玩動物として飼育者によって愛情をもって飼育され、単なる動産の価値以上の価値があり、直ちに財産価値がないと結論付けることはできないとして、民法718条1項本文の不法行為責任を負うと判示しています。

そして、被害を受けた猫の飼い主に対する慰謝料は、飼い猫が18歳と高齢であり、死期が近い状況にあったとしても、愛玩動物を無残な形で死亡させた場合の飼い主の精神的苦痛は、むしろ、その飼育期間に比例して増大するものと考えるべきであるから、慰謝料の減額の事情にならないとして、犬の飼い主に慰謝料20万円の支払いを命じました。

 

5 個人賠償責任保険

加害動物の飼い主としても、動物の予想外の行動により、偶然に他人や他の動物に危害を与えてしまった場合、被害動物の飼い主から賠償請求に困惑されることもあると思います。

そのような場合には、個人賠償責任保険に加入していないか確認してみることをお勧めいたします。

 

個人賠償責任保険は、日常生活の中での偶然の事故により、他人を怪我させた場合や、物を壊してしまった場合などに保障される保険です。

自動車保険、火災保険などに個人賠償責任特約が付いていることもあります。

 

個人賠償責任保険の保険金の支払い対象には、治療費の他に弁護士費用や訴訟費用も含まれていることもあります。

事前に保険会社に確認を取る必要がありますが、加害動物の飼い主でも、保険金から被害者に賠償をすることができる可能性が出てきます。

 

咬みつきの事件は、飼い主の過失割合、治療の範囲、慰謝料の金額など見解が対立する場合もあります。

 

ペットに対する愛情や思い入れから、単純には賠償額が決まらないことも多いですので、動物トラブルでお困りの場合は、ご相談ください。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 細野 希

一新総合法律事務所
弁護士 細野 希

新潟事務所所属/事故賠償チーム

人に対する思いやりを忘れずに、誠実に対応し、日々勉強と経験を重ねて、信頼される弁護士になれるように努めてまいります。

キャンセルトラブルが泥沼化?新型コロナウィルス感染症拡大を理由とした結婚式キャンセルについて(弁護士:朝妻 太郎)

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新型コロナウイルスの感染拡大で予定した結婚式開催が不可能になったとして、関東地方在住の夫婦がキャンセル料を払わずに中止したところ、式場の運営会社(東京都)から見積金の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こされた、というニュースが報道されました。

夫婦側は申込金の返還を求めて反訴したとのことです。

 

昨年以降、結婚式披露宴キャンセルの問題が各地で頻発しているようです。

一般消費者の立場からも事業者の立場からも注目度の高い問題といえます。

 

1 法律のルールはどうなっているか?

 

この点は既に多くの法律家が、雑誌やインターネット記事で配信していますので、既に御承知だと思いますが、原則的には、当事者間の契約内容に従うことになります。

契約書若しくは契約約款にキャンセルに関する規定が存在し、それに従った処理がなされることにとなります。

 

おそらく契約約款等には、新郎新婦側からの申出によるキャンセルの場合と、不可抗力による中止の場合がそれぞれ記載されているかと思います(万が一、そのような規定すら設けていない事業者の方がいらっしゃいましたら、直ぐにでも近くの弁護士にご相談ください)。

 

ここで、新郎新婦側からの申出によるキャンセルの場合にはキャンセル料が設定されており、不可抗力による中止の場合にはキャンセル料が発生しないというような規定になっていることが多いのではないでしょうか。

また、キャンセル料が発生する場合についても、キャンセル申出の時期によりキャンセル料の金額が細かく設定されているかもしれません。

 

万が一、キャンセルに関する規定が存在しない場合には、民法の規定によることになりますが、契約当事者双方に帰責性のない履行不能(結婚式・披露宴の開催不可能)か否かで判断が分かれることとなります(民法415条や536条1項)この判断も、結局のところ、不可抗力によるものか否かの判断と大きく重なります。

 

もっとも、下記のとおり、本コラム執筆時点においては、不可抗力による中止(双方帰責性のない履行不能)にあたるケースは多くはなく、一定のキャンセル料の支払いが必要になることが多いと考えられます。

 

2 当然に不可抗力といえるわけではない

新型コロナウィルス感染症の拡大を理由としたキャンセルが、「不可抗力によるキャンセル」や「双方帰責性のない履行不能」といえるかは、上記の裁判で主要な論点になると思われます。

 

新型コロナ感染症の拡大を理由として結婚式・披露宴を開かないことが「不可抗力」によるものかどうかは、裁判所の動向を見守ることにはなってしまいますが、ケースバイケースでの判断にならざるを得ないでしょう。

 

私見としては、現在(令和3年9月上旬)の状況で、当然に「不可抗力」による開催不能と認定されることは少ないのではないかと考えています。

現状、飲食の提供の一切が禁止されたり、都市のロックダウンがなされることはありません。

工夫を凝らせば結婚式等を開催することが不可能ではないといえます、各式場とも工夫を凝らした感染予防対策を講じ、各地のガイドラインに則った披露宴の開催が可能な環境を整えていると思いますので、コロナで開催不可能と判断されるケースは少ないのではないか、と思われます(特に、私がいる新潟県内はまん延防止措置の対象ですらありませんから、一切開催不可能という判断にはなりにくいと考えられます)。

 

3 キャンセル料はいくらが妥当か

それでは一定のキャンセル料の支払いが必要であるとして、いくらが妥当かというのは大変難しい問題です。

これも、基本的には契約約款等に従うこととなりますが、消費者契約法9条は、「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」については、「平均的な損害の額を超える部分」の規定は無効と定めています。

 

 

ここでの「平均的な損害の額」とはいくらなのか、ということなのですが、具体的な基準が定められているわけではありません。

例えば、契約締結後間もない時点で、挙式予定日とも相当離れているような場合に、挙式費用全額に近いキャンセル料を定めるものは、この「平均的な損害の額を超える」ものといえそうですが、このような極端なケースは稀で、一概に結論づけることができません。

 

また、実際に発生した費用のみ(いわゆる実費のみ)と考えることも、事業者の逸失利益等を考慮すれば妥当とも言い切れません。

引き続き裁判所の動向を注視する必要がありそうです。

 

4 この事件の他の問題点

 

一般向け報道の範囲でしか事情を知ることができませんが、この裁判では、そもそもキャンセルをしたのか否かも問題となっているようです。

 

結局、適式にキャンセルの通知(解約の意思表示)がなされていないとなると、契約約款等のキャンセルの規定の問題ではなく、無断キャンセルの問題になります。

そもそも、この点が明らかでないというのは、あまり好ましいことではありません(キャンセルの仕組みを用意していない式場側の問題なのか、きちんとした形で通知をしていない新郎新婦側の問題なのかは定かではありませんが、法的問題が発生した際の対応として検討すべき点があったのかもしれません)。

 

また、このコラムを書くにあたり、書籍だけでなく、様々なネット記事を拝見しましたが、一部の専門家が書いているものを除き、一方に肩入れして記載されているものが多いという印象を持ちました(当コラムもそのような印象を持たれていないことを願いますが…)。

単にコロナで解約といっても、状況が千差万別ですので、画一的な結論が出る問題ではないことには注意が必要です。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 朝妻 太郎

一新総合法律事務所
弁護士 朝妻 太郎

新潟事務所/企業法務チーム所属

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そのために、依頼者・相談者の方々の話をよく聞くことを第一にしていきます。


 本記事は2021年9月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
 記事の内容については、執筆当時の法令及び情報に基づく一般論であり、個別具体的な事情によっては、異なる結論になる可能性もございます。ご相談や法律的な判断については、個別に相談ください。
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